医療ボランティアの基本装備 = 雨具(レインスーツ)

夏山山岳診療所ボランティア

【雨具やっぱりゴアテックス製】

北アルプスに登るというと、これはもう完全に本格的な登山です。天候も変わりやすいですし、できるなら防水透湿性素材(ゴアテックスなど)のきちんとしたレイン・ウェアを用意することを強くお勧めします。

実際に体験してみないとわかりにくいかもしれませんが、はっきり言って山歩きは重労働です。汗をかきます。例えば想像してみてください。完全防水のカッパを着てランニングしている状態を。雨を防げても汗だくになって、蒸れてひどく不快です。

登山も同じような状況です。ですので防水透湿性の素材がベスト。メーカーの宣伝文句のように、まったく「蒸れない」ということはありません。それでもだいぶマシ。もともとアウトドアが趣味ではなく、今回が初めてで、この先もどうかはわからないという人でしたら、後述の安いレインウェアで十分かもしれませんが、今後も、ということを考えるのでしたら、絶対にゴアテックス製にすべきです。上下で買うと2~3万円はしますが、日常的なウィンドブレーカーとしても使えますので、投資するだけ価値はあるはず。

日本で手に入るトレッキング向け軽量レインスーツの代表格といえば、ザ・ノースフェイスの Raintexモンベルのストームクルーザーあたりが定番。

私自身は、アウトドア歴の最初の10年くらいは モンベルのストームクルーザーicon を愛用。その後、ゴアテックスの剥離などでボロボロになって、いまはノースフェイス製品を愛用しています。両方を使ってみて思うのは、機能面はどっちもどっち。ノースフェイスの方が襟の高さがちょっと高かったり、あとは体型や好み、デザインの問題だと思います。

軽さを追求するならノースフェイスの Raintex-Flight というモデルが610gで最軽量みたいです。私が今現在使っているのがコイツ。日常的に使うのであればちょっと重量は増す(780g)けど生地が丈夫なただの Raintexicon の方が長持ちするみたいです。

【一回きりの登山なら】

重くて蒸れる不快感はあるものの、ゴムびきのレインウェアもないよりはまし。そんなものでも、もし買おうとすると一万円近くはします。買う必要があるなら、いっそうのこと1000円程度のポンチョとか100円ショップで売っているようなビニール・カッパのほうがいいのでは、という気もします。その場合は、一回限りの使い捨てと割り切った方がいいでしょう。中は汗だくになりますから、こまめに着替えができるように衣類はおおめに持っておくのもポイントになります。

【ゴアテックスの帽子レインハットがあると便利】

雨の中を歩くとき、あると便利なのが帽子(cap)。ふつうはレインウェアのフードをかぶると思いますが、重い荷物を背負っていると、これがなかなか邪魔くさい。荷物のせいで、ウェアが下へ引っ張られて、フードが突っ張ってきたり、反対に目にかぶさって視界が狭まったり。そんなときは、キャップ(野球帽)を被った上に、フードを軽くかけるようにすると、邪魔くささが解消されます。

もっと快適さを追求するなら、レインウェアのフードは使わず、ゴアテックスでできた雨用の帽子(Hat) を併用するのがベスト。視界は広いですし、ウェアの襟元が開けられるので、蒸れも多少改善されます。

【夏でも凍死の危険】

登山をするなら、とにかくどんなものでも雨具はぜったいに必要。どうせ数泊だからといって、まったく持たずにいくとひどい目にあいます。山間部では、天気が悪いと夏でもかなり冷えます。私もたまに小雨とたかをくくって、雨具を着ないで歩くことがよくありました。でもいつの間にかびしょぬれなり、次第に体温を奪われていって、凍え死ぬんじゃないかと思ったことがありました。

実際、山で遭難死するひとのかなりの部分は低体温症(ハイポサーミア)が原因だそうです。つまりは凍死ですね。凍死というと真冬を想像しがちですが、実際のところ凍死は夏の方が多かったりします。夏場でも雨に濡れて夜にでもなったらガンガン体温が落ちていきますので、薄着の夏だからこそほんと注意が必要です。防水透湿性素材(ゴアテックスなど)のレインウェアを着ていても、汗でTシャツなどインナーは濡れます。でも雨で濡れるのとは体温の奪われ方がぜんぜん違います。ウィンドブレーカーとしての機能もあるわけですから、なにかしらのレインウェアは絶対に必要です。